太田ドクソの“atelier、白”

どくそがわたしを考えるところ。

cinéma

 何年も前に終わった話
精彩を欠いた言い訳を
いつまでも忘れられずにいる
忘れたくない恋だった

 夕べ夢で君と手をつないだ
糸目からのぞく、きらめき
目が覚めてから思わず照れた
嬉しいと、思った自分に……

 ロマンティックのお手本みたいに
銀幕を毛布にして眠って
迷う指先で探してたのは
どんな未来だったのか、今でも…

 だらしがないうえに 弱い僕らを
投影機の光がゆっくり溶かす
どうにかなりたい!どうかこのまま……
あいまいなせりふじゃ関係も
と ろ け て しまう

 

 二人の夜はいつもどこか、
秘密をはぐくむのに急いて
落ち着きを促す咳払いも
うっとうしくて聞こえないふり。

 ロマンティックのお手本みたいに
冷たい雨の夜二人きり
ひえた足首がふいに触れあって、
あのシネマを思い出したわ

 

 のびきってもなお、回る僕らは
くるくると同じところで
同じセリフを、同じトーンで、
話続けて

 だらしがないうえに 弱い僕らを
投影機の光がゆっくり溶かす
どうにかなりたい!どうかこのまま……
あいまいなせりふじゃ関係も
と ろ け て しまう